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不動産の購入は途中でキャンセル可能?気を付けたいこと

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不動産の購入は途中でキャンセル可能?気を付けたいこと

不動産の購入を計画していても、途中でなんらかの事情によりキャンセルしたいと考えることがあるかもしれません。不動産は単価が高額なだけに、慎重に行いたいですよね。もし不動産購入の契約後に、キャンセルをしたくなった場合はどうなるのでしょうか。

今回は不動産購入を途中でキャンセルできるのかについてご紹介いたします。

■不動産購入を途中でキャンセルすることは可能?

A「先日、新築マンションの購入を申し込んだんです。でも、今後のローンの支払い、生活費の出費を考えると、月々の出費が厳しくて...。申し込みはキャンセルできるんですか?」

B「キャンセル自体はできますよ。ただし、不動産購入のキャンセルはタイミングが大事です。」

・キャンセルは可能だが...

不動産購入のキャンセルは可能です。ただし、売買契約の成立前か成立後かで、違約金の支払いなど対応が異なります。

また、キャンセル自体は可能だとしても、売主に迷惑がかかることは否めません。不動産購入は慎重に行う必要があるでしょう。

<売買契約前のキャンセル>

不動産売買契約前であれば、違約金の支払いなども無くキャンセルできます。売買契約前に記入する「不動産購入申込書(買付証明書)」は、その家を買いたい意思を売主へ伝えるだけのもので、法的拘束力はありません。

申込時に申込金を支払っている場合も、返金してもらうことができます。

A「法律の世界では、口約束にも契約としての法的効力があると聞いたことがあるんですが...?」

B「不動産の売買契約が成立するには、宅地建物取引法で「書面で締結すること」が必須条件とされています。購入申込書は契約書ではありませんし、申し込みだけで不動産売買契約が成立するということはありませんよ。」

<売買契約後のキャンセル>

買主側の都合による売買契約後のキャンセルは、契約時に支払った手付金を放棄する(返金してもらわない)ことで可能となります。買主側の都合とは「気が変わった」「自己資金を準備できなくなった」などです。

ただし、手付金放棄して契約をキャンセルできる期日が設けられています(=手付解除期日)。この手付解除期日を超えてからのキャンセルは、違約金を請求されてしまうので注意が必要です。

・新築マンションの場合

新築マンションの購入の場合、申込時に申込金を支払うケースもあります。申込金は2万〜10万円が相場です。

順調に売買契約が成立すれば、申込金は手付金に当てられます。売買契約前にキャンセルした場合でも、申込金は返金されますのでご安心ください。

・中古や戸建ての場合

中古物件や新築一戸建ては仲介業者を通して販売されていることが多いです。そのため、買付証明書は仲介業者に提出します。仲介業者が売主と交渉し、売主が条件に合意すれば売買契約へと進みます。また、申込金の支払いがある場合は、仲介業者が一旦預かることになります。契約に進めば申込金は手付金に当てられ、キャンセルの場合は返金されます。

■特約でキャンセルが可能になるケース

・住宅ローンの審査が否決になった場合

住宅ローンの審査が通らなかった場合、売買契約は無効になるローン特約というものがあります。住宅ローンを利用する場合、金融機関の審査は売買契約成立後に行われます。審査が否決された場合は契約を進めることができません。

ここで買主側にペナルティを課すのは、あまりに酷な話でしょう。そこで、ローン特約で定めた期日内であれば契約を白紙に戻せるうえに、手付金も返金してもらうことができるのです。

・所定期日までに引き渡しができない場合

自宅の売却成功を条件に新しい家を購入する場合、買い替え特約が設けられます。買い替え特約とは、所定の期日までに自宅を引き渡し(売却)できなかった時に、新しい家の契約を白紙にできるというものです。

買い替え特約によって売買契約がキャンセルされた場合、違約金も発生しませんし、手付金も返金してもらうことができます。

■不動産購入をキャンセルする際に覚えておきたいこと

・場合によっては違約金の支払いが必要

不動産売買契約後のキャンセルは、場合によっては違約金が発生します。

一般的に、違約金の相場は売買価格の10%~20%になります。たとえば、物件価格3,000万円(手付金200万円)で違約金10%の契約をキャンセルした場合、3,000万円の10%で、違約金は300万円です。支払い済みの手付金200万円を差し引いて、実際は残りの100万円を売主に支払うことになります。

・損害賠償額は違約金とは別のもの

違約金と似たものに「損害賠償額」があります。契約書に「違約罰」の記載がある場合、キャンセルによって違約金+損害賠償額を支払わなければならないケースもあるのです。

違約金とは、契約違反があった時に支払うことをあらかじめ取り決めた金銭のことです。違約金に関する取り決めには「損害賠償額の予定」と「違約罰」の2種類があります。

損害賠償額の予定=生じた損害額が約束した違約金の金額を上回っても下回っても、差額は互いに請求できない

違約罰=実際に発生した損害についても賠償責任が発生し、約束した違約金に加えて損害賠償額も支払う

売買契約においては、「損害賠償額の予定」とする場合がほとんどですが、契約書に違約罰の記載がある場合は、キャンセルによって違約金以上の額を請求されることがあるので注意が必要です。

・キャンセルできない場合もある

売主が履行に着手している場合は、手付金放棄だけではキャンセルできません。履行に着手したとは、「客観的に外部から認識できるような形で履行行為の一部をなし、又は履行の提供をするために欠くことのできない前提行為をした場合」と規定されています。

A「どんな場合に契約の履行に着手したと判断されるんですか?」

B「う〜ん、実はこの線引きが曖昧でトラブルになりやすいんです。そういった場合、弁護士などの専門家に一早く相談するようにしましょう。」

売主が履行に着手している場合、キャンセルが難しい場合もあるので、注意しましょう。

■まとめ

不動産購入のキャンセルは可能ですが、タイミングによっては手付金が戻ってこなかったり、違約金が発生したりすること、また、キャンセルが難しい場合もあります。これは、売主・買主の双方にとって大きな負担となるでしょう。キャンセルすることがないよう、不動産購入前は慎重に検討されることをおすすめします。