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不動産売買で知っておきたい代理権。どんなことに気を付けるべき?

コラム

不動産コラム

不動産売買で知っておきたい代理権。どんなことに気を付けるべき?

不動産の売買を行う際に、自分で手続きするのが難しいなどの事情がある場合、委任状によって第三者が契約手続き

を行える方法があります。手続きに時間がとれない、遠方の物件を売買したいなどの場合には非常に便利な制度

ですが、気を付けておきたい点がいくつかあるので注意しましょう。

今回は、不動産売買を行う際に利用できる代理権について紹介します。

■代理権とは

不動産売買における代理権とは、第三者が本人に代わって売買契約の手続きを行う権利のことです。

・代理権の種類

代理権には任意代理権と法定代理権の2種類があります。

<任意代理権>

本人の意思により第三者に与えられる代理権のことです。基本的に、委任を受ければ誰でも任意代理人になること

ができます。しかし、信頼できる人物に委任しなければ、トラブルが起きてしまう可能性があります。確実に信頼

できる身近な人物や専門家に委任するのが賢明です。

<法定代理権>

本人や代理人の意思に関係なく、法律に基づいて発生する代理権のことです。不動産売買契約をする本人が未成年者

や成年被後見人などの場合、法定代理権を持つ人が代わりに交渉・手続きを行います。

法定代理人になれるのは以下のような人です。

  • 未成年者の親(親権者)
  • 成年後見人

・代理人を立てる場合は代理権委任状が必要

代理人を立てる場合は、本人による代理権委任状の作成が必要です。代理人は委任状に記載された項目しか代理を

務めることはできません。何をどこまで代理できるのかを委任状で明確にしておくことで、未然にトラブルを防ぐ

ことができます。以下の項目は、委任状に記載すべき最低限の内容です。

  • 土地の表示項目
  • 建物の表示項目
  • 権限の範囲(売買の価格や決済引渡しの予定日等)
  • 代理人の住所氏名
  • 委任者(所有者本人)の住所氏名の署名・押印(実印)
  • 書面日付 など

■代理権を持たない無権代理人とは

・無権代理人とは

無権代理人とは、「最初から代理権がない人」または「委任された権限の範囲を超えて代理行為を行なった代理人」

のことです。

・無権代理人が契約をするとどうなる?

A「無権代理人が行なった契約はどうなるんですか?」

B「原則無効であり、代理人も本人も契約を履行する責任はありません。ただし、本人が「契約は有効」と追認すれば、

 無権代理人が責任を負うことになります。」

・無権代理人の責任とは

「無権代理人が代理権を証明できない場合」や「委任した本人が追認しなかった場合」は、無権代理人が「契約の履行」

 または「損害賠償」の責任を負います。どちらの責任を負うかは、相手方の選択によります。

ただし、以下の場合は相手方が善意・無過失と認められず、無権代理人は責任を負う必要がありません(民法117条)

  • 代理人に代理権が無いことを相手方が知っていたとき
  • 相手方の過失により、代理人に代理権が無いことを知らなかったとき
  • 代理人が行為能力を有しなかったとき

■代理人を立てることで生じるリスク

・売主のリスク

売主のリスクは「代理人に判断の権限も与えてしまうこと」です。たとえば、買主が値下げ交渉をしてきた場合、

与えられた権限次第では、代理人は自分の判断で値下げをすることができます。売主からすれば想定外の条件で契約を

結ばれる可能性もあるため、注意が必要です。

・買主のリスク

買主のリスクは「代理人が本当に代理権を持っているかどうか分からないこと」です。代理人だと名乗る人物が委任状を

持っていても、その委任状が偽造されている可能性もあります。代理人による不動産売買では、売主よりも買主のほうが

高いリスクを負っているため、慎重に対応しなければなりません。

・代理売買でリスクを下げるために必要なこと

売主がリスクを軽減するためには、委任状で代理人の権限を明記することが大切です。一方、買主は売主の本人確認と

委任状の確認を徹底することで、リスクを軽減できます。

■まとめ

代理権は不動産売買においても便利な仕組みですが、売主と買主の双方にリスクがあります。代理権を使用して不動産

売買契約を進める場合は、細心の注意を払うようにしましょう。