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賃貸物件(アパートなど)は相続できる?やるべきことや気を付けたいこと

コラム

不動産コラム

賃貸物件(アパートなど)は相続できる?やるべきことや気を付けたいこと

賃貸物件は相続ができます。しかし、居住用の物件とは必要な手続きや注意点が異なるので、相続する際は注意が必要です。

今回は、賃貸物件の相続をする際に必要なことや注意点を解説します。

■賃貸物件(アパートなど)の相続をするには

A「私の父が所有しているアパートは築5年で駅からのアクセスもよいので、相続税評価額が気になります。相続の際にやるべきことは何でしょうか?」

B「築年数が浅く立地条件もよいからといって、相続税評価額が高くなるとは限りませんよ。まずは賃貸物件の扱いについて理解を深め、必要な手続きを確認しましょう!」

・賃貸物件(アパートなど)の評価額とは

不動産は、用途によって自分で住むための居住用物件と投資用の賃貸物件に分けられます。また、双方で相続税評価額の評価方法が異なり、賃貸物件は居住用物件と比べて評価額が低くなる傾向にあります。

・賃貸物件(アパートなど)の相続でやるべきこと

<ローンなどが残っていないか確認>

被相続人が相続税の節税対策の一環として賃貸物件を購入し、新築時に借り入れたローンを残すのはよくあるケースです。もしローンが残っている状態で賃貸物件を相続した場合、債務も引き継いでいくことになるため、しっかりと把握しておきましょう。

<相続人を決める>

賃貸物件の相続人は預貯金や居住用物件と同じく、原則として遺言書の内容が優先されます。遺言書がない場合は遺産分割協議を行い、相続人全員で誰が物件を相続するのかを決めなければなりません。

<相続発生前後の賃料の扱い>

賃貸物件の賃料については、相続発生の前後で扱い方が異なります。相続発生前に支払期日を迎えていた賃料は、未収金も併せて亡くなった人の財産です。そのため、相続の際は被相続人の預貯金(相続財産)として分割する必要があることを押さえておきましょう。

一方、相続発生後に支払われた家賃は相続人の収入です。ただし、遺産分割協議が終わるまでの間は、相続人全員の共有財産となることに注意してください。

<名義人の変更>

賃貸物件の相続人が決まったら法務局にて相続登記を行い、不動産の名義を変更します。賃貸物件の名義が被相続人のままであった場合、不動産の売却ができないことや後で相続登記をしようとしても相続人間での調整に手間がかかることも予想されます。その他さまざまなデメリットが生じることも考えられるため、できる限り早めに行なっておくことが大切です。

<保険や物件の確認>

賃貸物件を相続する際は、物件にかけられた火災保険や地震保険の名義も変更しなければなりません。手続きを怠ると、万が一のときに保険金を受け取れなくなる可能性があるため、速やかに保険会社へ連絡しましょう。また入居状況や修繕の有無など、物件そのものの管理状況を確認することも大切です。

<賃貸借契約の承継>

物件の賃貸借契約を引き継ぐ際は、入居者との良好な関係を保つためにもオーナーの変更を告知しておきましょう。また家賃の支払先が被相続人の個人口座であれば、新しい振込口座を知らせる必要があります。

■賃貸物件(アパートなど)の相続における注意点

・管理会社と良好な関係を築く

相続した賃貸物件の経営を継続する場合は、物件の入居状況や問題点を把握し、賃貸経営の全体像をつかむことが大切です。そのためにも管理会社とのコミュニケーションを十分に図り、物件の管理状況や修繕の記録、空室期間、今後支払うべき管理費などについて把握しておきましょう。

・返還敷金および修繕費の確保

賃貸物件は、敷金・保証金を預かっているケースがほとんどです。相続後に賃貸人が退去する場合は、相続人が室内の修繕でかかった費用の差額を返還しなければならないため、あらかじめ財源を確保しておきましょう。また物件の状況によっては相続後に大規模な修繕が必要となり、高額な費用を支払わなければならない可能性もあります。

・できるだけ単独相続すること

中には節税対策のために不動産を共有で相続するケースもありますが、共有名義にはさまざまな困難が伴います。例として賃料の分配方法でもめたり、一部の共有者に管理の負担が偏ったりすることが挙げられるでしょう。

また、不動産の大規模な修繕や売却には共有者全員の同意が必要です。共有者の1人が費用の支払いを拒否した場合、修繕ができなかったり全員に連絡が取れず売却が進まなかったりすることにもなりかねません。相続人間でのトラブルを避けるためにも、不動産はできる限り単独で相続したほうがよいでしょう。

・手続きが難しい場合は専門家に依頼すること

賃貸物件の相続には複雑な手続きを要し、場合によっては多くの手間と労力がかかってしまいます。そのため、相続人だけで進めるのが難しい場合は、遺産相続に詳しい専門家に頼ることも検討してみましょう。

■まとめ

賃貸物件を相続する際は、相続に必要な手続きを踏むのはもちろん、以降の賃貸住宅経営に関しても考えておくことが大切です。必要であれば管理会社や相続の専門家の手も借り、手続きをスムーズに済ませましょう。

※ 本コラムの内容は令和5年1月現在の法令などに基づいて作成しております。年度の途中で法令が成立したなどで、本コラムが現時点の法令と異なる場合もございますので予めご了承ください。また、詳細について知りたい方は、所轄の官庁、または、弁護士、税理士などにご相談ください。